▍成瀬麻紀子 展

2018年10月2日(火)〜14日(日)
※10月9日(火)は休廊
12:00~18:30 初日は13:00より。最終日は17:00まで
 
▍ギャラリーより
ギャラリー美の舎では10月2日より成瀬麻紀子の個展を開催いたします。2007年の企画展 佐倉市美術館「さみしさと向き合って」は今も多くの人の心に刻まれる展示となりました。その後も個展がNHKの日曜美術館で取り上げられるなど注目を集めています。今回はクレパス画と水彩画の作品の展示となります。多くの方のご来廊をお待ちしております。
 

 

▍作家コメント
私にとって絵をかくよろこびは、なによりも色のたのしさです。色をぬるよろこび、色をみるよろこびです。
そしてこの色とかたちをつかって、自分の内面も表現できることの、うれしさです。この表現は、とても素直な表現です。
言葉ではうまくあらわせなくても、絵の中では、私は自由です。そしてちょっとおおげさだけれど、この自由は、宇宙につながっている気もします。
こんな私の絵が、みてくださった人の気持ちとふれあってくれたら、それはとてもうれしいことです。
 

▍埼玉県立近代美術館 学芸員 大浦周
「描くこと、あなたに向けて」
 私の小さな絵たち、お前たちだけに、ときおり私の苦しみ、私の悩み、私の軽蔑を打ち明ける。
(エミール・ノルデ 1944年10月3日付のメモより)

ドイツ表現主義を代表する画家エミール・ノルデ(1867-1956)は、第二次世界大戦中にナチスから「頽廃芸術家」の烙印を押され、制作活動を禁じられた。画材の購入すらも禁じる厳しい監視の下で、画家は誰にも見つからないようにひっそりと小さな寸法の水彩画を描き続けた。自らの内面と幻想の世界に沈潜し、和紙に滲む絵具で心象風景を描き続け、終戦までに1300点ものおびただしい数に達したこの水彩作品群。文頭に引いたメモのことばにあるように、これは画家自身の苦悩や煩悶の吐露であり、誰かに観られることを始めから拒否する、画家自身がそう名づけたとおり「描かれざる絵」だったのである。
成瀬麻紀子の絵を知った時、脳裏をよぎったのはこのノルデの水彩画だった。成瀬もまた、思うままにならない心の病を抱えた日々の中で絵筆をとり、自らの内面を記録のように画面に残すことから制作を始めたという。それゆえに、彼女の心の痛みや葛藤に目が向けられ、作品に見出すことのできる悲しみや危うさが語られてきたのではなかったか。しかし、今回の展覧会で展示されるいくつかの作品を目にして、こうした解釈が彼女の制作の一面を捉えているにすぎないことを感じた。
例えば《きもちが育つ時》と題された作品。水彩画と並行して十数年前から続けているクレヨン画で、灰色のクレヨンで塗られた層を削って、丸みを帯びた木の幹と枝のようなかたちが表されている。灰色の下の、カラフルに塗り分けられた層が、成瀬の手の動きによって顔をのぞかせる。クレヨン画を描くときは、全面に塗ったクレヨンが定着するまで数日の間放置しなければならないため、いざ削る際には下に塗った色がどのような配置だったか忘れていることが多いという。現れる色の鮮やかさや組み合わせの意外さに高揚する成瀬の気持ちが画面に刻まれているようで、削られていない灰色の下にどんな色が隠れているのか、観る側もつい想像を膨らませてしまう。制作時の成瀬の気持ちと、作品を観る者の意識とは、この時重なっているのかもしれない。
成瀬にとって自らの内面に向き合うことは、必ずしも他者の眼に対して閉じられていることを意味しない。内面に深く向き合い、それを素直にありのままに描き出すからこそ、絵筆やクレヨンを手にとり絵に留めようとした成瀬の心のありようが観る者に直に伝わり、深い共感を呼ぶのだろう。その意味で、成瀬の作品は、絵を観るあなたに向けて「描かれて」いる。今日もまた1枚、もう1枚と、彼女の心の機微を写した作品が生み出されているのだろう。それが絵を観る誰かの心に触れることを願いながら。
 

▍中野琢磨 展

2018年10月23日(火)〜28日(日)
※10月9日(火)は休廊
12:00~18:30 初日は13:00より。最終日は17:00まで
 
▍ギャラリーより
ギャラリー美の舎では10月23日より中野琢磨の個展を開催いたします。
中野は美大には進まず、独自の空想の世界を描き続けている作家です。
ブリューゲルやボスを思わせる中世風の建物や動物達は日本画用の極細の筆を使って驚くほど細密に描かれています。その人物もとても魅力的です。
皆様のご高覧をお待ちしております。
 

 

▍工房集 展 輝く者たち 
-どこから来て、どこへ行くの?-

2018年10月30日(火)〜11月10日(土)
会期中無休
12:00~18:30 初日は13:00より。最終日は17:00まで
▍トークイベント 11月3日(土・祝)13:00〜
 
出展作家
伊勢川秀穂 岩井美和子 大倉史子 高谷こずえ 田島絵里 田村美弥 林直登 水島理桂 横山涼
 
▍ギャラリーより
ギャラリー美の舎では昨年に続き、工房集展を開催いたします。
工房集は埼玉県川口市にある表現活動を福祉の軸にしている障がい者施設です。作品が大手アパレルメーカーや企業とのコラボレーションに使われたり、海外で高い評価を受けるメンバーも多くいます。
工房集のメンバーの皆さんの作品の発想の源はどんなところにあるのだろうと、いつも考えて見ていました。スタッフの方のお話を聞き、ずっと同じスタイルの作品が続くわけではなく、変わっていく人も多いことを知り、「輝くものたち どこから来て、どこへ行くの?」というタイトルをつけました。この時、この場所で出会えた作品達の輝きを、いつまでも忘れずに愛し続けたいと思います。
一部、作品の販売もございます。トークイベントはどなたでも参加可能です。
皆様のご高覧をお待ちしております。
 
▍工房集 コンセプトワークブックより
人間は生きる事自体に価値がある。『表現すること』は人間が生きる事そのものです。
表現すること、存在すること、そこには大きな価値がある。  それは現在は見えにくいけれども、私たちの未来をつくるとてつもなく大きな価値なのです。